国内外で陸上競技の本格的なシーズンが幕を開け、各地で熱戦や市民を巻き込んだイベントが繰り広げられている。日本では将来有望な若手アスリートが歴史的な記録を打ち立てる一方で、アメリカでは伝統ある市民レースが盛況を見せた。
16歳の新星が躍動、久保凛が800mでU18日本新
静岡スタジアムで開催された静岡国際陸上の女子800メートル決勝で、東大阪大敬愛高2年の久保凛が圧巻の走りを見せた。タイムは2分3秒57。実に18年ぶりとなるU18日本記録の更新という快挙である。自己ベストも一気に1秒56縮め、本人は「自己ベストを出せて良かった。100点と言っていいかな」と会心の笑みを浮かべた。
昨夏のインターハイを制した彼女は、このレースでも持ち味を存分に発揮した。中盤までは集団の中ほどで冷静に機をうかがい、残り100メートルを切ったところで一気に先頭へ躍り出る。そのまま後続を力強く突き放し、2位の渡辺愛(園田学園女子大)には1秒の差をつけてフィニッシュラインを駆け抜けた。「驚きよりも安心した」とレースを振り返る16歳だが、決して現状に満足しているわけではない。目標に据えていた高校記録の2分2秒57にはわずかに届かず、その点についてはっきりと悔しさを口にしている。
サッカー日本代表の久保建英をいとこに持ち、和歌山・潮岬中時代から全日本中学校陸上競技選手権で優勝するなど、早くからその素質は高く評価されてきた。今後は6月末に控える日本選手権での優勝を見据えつつ、ゆくゆくは800メートルで世界と渡り合える選手になりたいとさらなる飛躍を誓っている。
シカゴを駆ける伝統の市民レース
一方、海の向こうのアメリカでは、幅広い層のランナーたちが春の気配を感じながら街を駆け抜けていた。日曜日、シカゴのノースサイド地区で「シカゴ・レイクフロント10マイル&5K」が開催され、数百人の参加者が集結した。シカゴ・エリア・ランナーズ・協会(CARA)の主催で行われるこのイベントは、今年で48回目を迎える。シカゴマラソンに次いで市内で2番目に長い歴史を持つ由緒あるレースだ。
ランナーたちはウィルソン・アベニューを一斉にスタートし、ミシガン湖畔の美しいコースを進んでいく。最大の見せ場となるのは、ゴール直前に待ち受ける「クリケット・ヒル」と呼ばれる丘だ。これを乗り越えてフィニッシュするユニークなコース設定が、長年多くの参加者を惹きつけている。
走るペースも参加の目的も人それぞれ。本格的な春のレースシーズンに向けた実戦練習として走るベテランがいれば、日頃の運動不足解消や新たな目標へのステップアップとして参加する市民ランナーもいる。トップアスリートが限界に挑む日本のトラック競技から、誰もが自分のペースで走る喜びを共有できるアメリカのロードレースまで、スポーツの魅力は様々な形で体現されているようだ。