音声通話がクリアに!iPhoneのAI活用「声を分離」機能がついに電話対応へ

iPhoneが提供する音声通話機能に、新たな進化が加わった。2023年3月28日に配信されたiOS 16.4によって、「声を分離」機能が通常の電話通話にも対応するようになったのだ。これにより、ユーザーの声と周囲の雑音を分離し、相手により聞き取りやすい音声を届けることが可能になった。

AIが実現するクリアな通話体験

「声を分離」は、iPhoneの機械学習(AI)技術を活用して、マイクが拾った音声の中からユーザー自身の声を抽出し、騒音などの周囲の音を排除する仕組み。これにより、カフェや駅など騒がしい環境でも、通話相手には雑音の少ないクリアな音声が届く。

この機能は、元々はFaceTimeやLINE、Zoomなど一部のアプリに限って提供されていたが、iOS 16.4のアップデートによって、ようやく電話アプリでも利用可能となった。対象機種はiPhone XS以降のモデルであり、比較的新しい機種を使っている人にとっては非常に有用な機能となるだろう。

設定は通話中のコントロールセンターから

ただし、「声を分離」の設定方法には注意が必要だ。この機能は、通話中にのみコントロールセンターから有効化できる。つまり、「設定」アプリの「電話」項目からは変更できず、実際に通話しているときにコントロールセンターを開き、「マイク」項目をタップして「標準」から「声を分離」へ切り替える必要がある。

一度設定すれば、そのまま次回の通話にも引き継がれるが、通話中に毎回変更するのは手間がかかる。そのため、あらかじめ自分に電話をかけて設定を有効にしておくのが賢明だ。家族用や予備の回線があれば、それを使って事前に準備するのも一つの方法である。

ビジネスにもプライベートにも有効な機能

メールやSNSなど、連絡手段が多様化する中で、電話の使用頻度は一時期に比べて減っているかもしれない。しかし、仕事上のやりとりや緊急時の連絡には、やはり音声通話が欠かせない場面も多い。そうした中で、「声を分離」機能は大きな役割を果たす。

特にビジネスシーンでは、固定電話への発信や長時間の通話が発生することも少なくない。周囲のノイズを減らし、自分の声を明瞭に届けることは、円滑なコミュニケーションのために重要だ。

「ワイドスペクトラム」との併用も

なお、音声通話以外のアプリであれば、「ワイドスペクトラム」モードも選択可能だ。こちらは「声を分離」とは逆に、周囲の音までしっかりと拾って相手に伝えるための機能。近くの環境音も含めて伝えたい場合には適している。

これまで一部のアプリでしか使えなかった「声を分離」だが、今回のアップデートを機に、その利便性を再確認し、設定を見直してみると良いだろう。より快適な通話体験が、今すぐ手の中のiPhoneで実現できるはずだ。