WOWOWブリッジ、日本初の大型プロジェクトを受注 国際制作支援に本格参入

日本の有料テレビ放送局WOWOWが昨年立ち上げた制作支援会社「WOWOWブリッジ」が、初の主要プロジェクトを正式に受注したことが明らかになった。現在、同社は米ユニバーサル・テレビジョン、ウルフ・エンターテインメント、CBSスタジオによるドラマ『FBI:インターナショナル』のシリーズ最終回に向けた東京ロケの制作業務を担当している。

このプロジェクトは、Apple TV+で世界配信予定の大型SFドラマ『ニューロマンサー』の撮影支援を成功裏に終えた直後にスタートしたもので、WOWOWブリッジにとっては2件目の本格的な国際制作支援となる。

WOWOWは、日本を舞台にした実写作品への関心の高まりを受け、2023年に同子会社を設立。海外の映画・ドラマ制作チームが日本でスムーズに撮影できるよう、ロケ地調整、スタッフ確保、法規対応などフルパッケージの制作支援サービスを展開している。

制作支援事業参入の背景には、WOWOWが米HBO Maxの犯罪ドラマ『トウキョウ・バイス』に共同プロデューサーとして関わった経験がある。同作品を日本で実現させた立役者のひとりが、WOWOWの米国拠点責任者であり国際共同制作・買付・配給のチーフプロデューサーも務める鷲尾賀代氏だ。彼女の現地ネットワークと交渉力が、今回のプロジェクト獲得にも大きく寄与した。

現在、日本では海外制作を対象にした新しいインセンティブ制度が始まっており、対象経費の最大50%(上限10億円)までのキャッシュリベートが提供されている。WOWOWブリッジは、これまでに関与した全3作品でこの制度を活用しており、プロジェクトの実現性と経済的なメリットを高めている。

この制度の導入自体にも、鷲尾氏が大きく貢献した。彼女は『トウキョウ・バイス』シーズン1の撮影が始まる以前から、日本国内での国際制作促進を目的としたインセンティブ創設に向けて、関係機関との調整や働きかけを続けてきた。

さらにWOWOWブリッジは、国際共同制作の現場で豊富な実績を持つベテランラインプロデューサー・浜崎満敏氏を新たに起用。『トウキョウ・バイス』『アースクエイク・バード』『スネーク・アイズ』など、海外制作との接点が多い作品で手腕を発揮してきた彼は、今後すべてのWOWOWブリッジ制作における主要ラインプロデューサーとして現場を統括する。

「彼の実力は『トウキョウ・バイス』シーズン1で身をもって知りました。日本で最高のラインプロデューサーだと私は確信しています。今回のチームで、海外制作に対応できる最強の体制を築いていきます」と鷲尾氏は語った。

WOWOWブリッジの今後の展開は、グローバルな映像制作業界における“ジャパン・ロケーション”の価値をさらに高めるものとして、注目を集めそうだ。